七章 家庭教師

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   早朝、まだ日が昇る前の暗闇に包まれた中、狭い中庭で身体を動かし、体中の筋肉をほぐしていく。簡易的な朝の鍛錬を終えたところで、兵士に付き添われながら、走竜の彼方のいる獣舎へと足を向けた。  広い獣舎の中でのんびりと寝ていたらしい彼方は、リューティスが歩み寄ると目を覚まし、甲高い声で鳴いてすり寄ってきた。その太い首元に抱き着き、ひんやりとしたなめらかな鱗を撫でる。 「──彼方」  名前を呼ぶと鼻を鳴らし、鼻筋を撫でると目を細める。彼との触れ合いは、リューティスの中ですっかり日常になっていた。  朝食を食べさせ、ついでに彼の好物である甘い果物も食べさせて、獣舎を後にする。外に出ると、東の空に太陽が顔を覗かせていた。  丁度、朝食の準備が整ったと侍女がリューティスを呼びに来た。侍女に連れられて、応接室に足を運んだ。  そこにはすでにユリアスの姿があった。 「おはようございます、リュース君」 「……おはようございます」  眩しい彼女の笑顔から目をそらし、彼女の対面に腰を下ろす。すると、侍女が台車を押した部屋に入ってきて、テーブルの上に料理を並べ始めた。 料理がすべて並べられて、侍女が部屋を後にしたところで、ユリアスが匙を手にして食べ始めた。それを見て、リューティスも食器に手を伸ばす。 「今日は何をするんですか?」 「クレーネーと一緒に少し学園に行って参ります」 「学園に?」  ユリアスは首を傾げた。きれいな薄緑色の髪の毛が彼女の華奢な肩から滑り落ちる。 .
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