七章 家庭教師

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   リューティスはここ数日、ギルド“月の光”本部に足を運び、溜まっていた仕事をこなしていた。どこかの街に滞在しているときは、度々転移魔法でこちらに戻ってきていたが、最短距離を通ってきたため、当然ながら危険区域も通過してきており、移動中や野営中はクレーネーから離れることはできないのだ。  仕事をこなしている間に、ニアン学園の学園長であるラウ・イスカー ──数年前に引退した元SSSランク冒険者であり、“時空の操者”という二つ名を持つ、特別属性である時属性と空間属性の使い手──と会う約束を取り付けていた。その約束の日が今日である。当然ながら、クレーネーも一緒だ。彼にも今日は予定をあけておくようにと伝えてある。 「僕が旅に出てからクレーネーの教師役をしてくださる方を紹介してくださることになっております」  ラウにはすでに事情を説明しており、その上で教師役に適切な人物を紹介してもらえることになっている。今日はクレーネーと二人で、ラウと共にその人物とも会う予定だ。 「私に言ってくれれば探したのに……」 「……すみません」  ユリアスに頼むことも考えたが、彼女のつてを借りるとなると、教師役として紹介してもらえる相手は、おそらく貴族の家系に連なる者となるだろう。とはいえ、貴族といっても、教師として働くのは本家からほど遠い分家の、後継ぎではない男か貴族に嫁ぐ予定のない女性となる。それでも、相手は貴族であり、クレーネーがその相手と上手く関係を築けるかどうか心配だ。 .
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