八章 招待状

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   春の朝の涼しい風が吹き抜ける。リューティスは素振りをしていた手を止めて空を見上げた。もうじき日が昇る空には星は見えない。しかし、双子の月が煌々と輝き、大地を照らしていた。  大きく息を吐きだして、再び刀を構え直した。  しばらくの間、朝の鍛錬をクレーネーと共にしていたために、ここ数日はどことなく物足りなく感じていた。  明日からは学園の授業も始まるということで、ユリアスも明日の朝には学園の寮に戻る。リューティスもそろそろ旅に戻るつもりであるが、もう少しクレーネーの様子を見てから考えるべきであろう。  日が昇る前に手を止めた。侍女が一人、朝食の準備が整ったことを知らせにきた。リューティスは彼女に礼を告げて、彼女の案内で食堂へと向かった。  この屋敷には食堂が二つある。一つは来客と共に食事を取ることのできる広くてきらびやかな調度が並ぶ食堂であり、もう一つはアクスレイド家の人々が身内だけで食事を取るときに使用するやや小さな食堂だ。  侍女に案内されたのは小さな方の食堂であり、そこにはすでにユリアスの姿があった。 「おはようございます、リュース君」 「……おはようございます、ユリ」  淡い笑みを浮かべたユリアスに頬を緩める。ユリアスは立ち上がってこちらに歩み寄ると、リューティスの手を引いた。そのままその手に導かれて椅子に座った。 .
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