八章 招待状

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   平民街は今日も賑わっていた。御者は適当なところで馬車を止め、リューティスとユリアスを下ろしてくれた。 「行きますよ」  ユリアスに腕を引かれ、平民街を歩く。 「あ、そういえば」  ユリアスが不意にこちらを見上げた。その距離の近さに今更ながら気がつき、慌てて顔をそらす。 「……はい」 「昨日、リュース君のご両親に会いに行きました」  リューティスは驚いた。遅れてなぜ彼女が一人で会いに行ったのかと疑問が沸き上がる。 「……なぜ一人で行かれたのですか」 「……リュース君、会いに行きにくかったんじゃないんですか?」  彼女の言葉は図星だった。  己の居場所がないあの家に住む、血の繋がったあの二人。会いに行ったとして、何を話せばいいのかもわからず、かといって突然の婚約の報告を己から切り出す自信もなかった。  彼女と会いに行くのなら、その前に手紙でその旨を伝えねばならないが、その手紙に何を書けばいいのかもわからず、どうすべきかと長い間、頭の片隅で考えていた。  彼女は寂しそうに笑った。 「リュース君のご両親は、リュース君が戻ってきていること知っていましたよ」  リューティスの生みの父親は大規模ギルド“暗夜の憂鬱”に所属するSランク冒険者だ。毎日のように大規模ギルドに足を運んでいれば、自然とリューティスの噂も耳に入るだろう。 .
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