八章 招待状

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   少々気恥ずかしい。 「え? なんていった?」  周囲のあまりの騒がしさに、互いの声がかき消されてしまう。リューティスは口の動きを読んでいるため、言葉が聞き取れなくても何を言っているのかわかるのだが、彼の方はそうではない。先ほどまでユリアスとの会話が成り立っていたのは、互いの距離が近かったためだ。 「どっか行こう!」 「喫茶店でいいですか!?」 「そうね!」  女性二人が行先を決め、歩き出す。有舞と手をつなぐレイトは有舞に、ユリアスと腕を組むリューティスはユリアスに連れられて、その場を後にした。  大通りから路地へと入り、奥へと進んでいく。街によっては治安が悪く、大通りから反れるとすぐに危ない輩が近寄ってくるところもあるのだが、国の警ら兵が歩き回る首都ではそのようなことは滅多にない。  人混みから抜けたところでユリアスの腕が離れた。少々寂しさを感じたが、慌ててその感情を打ち消して、同じく手を離されたレイトと並んで歩く。 「どこに行く?」 「クインネーさんのお店はどうですか?」 「あぁ、あそこなら静かね」  有舞とユリアスは行く先を確定させたようだ。 「婚約式の準備は進んでる?」  レイトに訊ねられてうなずく。少しばかり頬が熱い。誤魔化すようにフードを被り直した。 「そっか。楽しみにしてるからな、招待してくれよ?」 「……うん」  友人である彼には、当然ながら招待状を送るつもりである。 .
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