八章 招待状

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   前を歩いていた二人が店の扉を開けた。店の看板には『青の鳥喫茶店』と書かれている。 「いらっしゃい。……おや、珍しい顔だね」 「おはようございます、クインネーさん」 「おはよー、クインネーさん」  まだほとんど客のいない店内で珈琲を入れていた初老の男──クインネーが、ユリアスと有舞を見て目を細めた。どうやら、ユリアスも有舞も彼と知り合いのようだ。 「そちらのは……会ったことがあるね」 「うっス」  レイトは声をかけられて小さく会釈をした。彼も店に来たことがあるらしい。 「そちらのは…………」  クインネーと目が合う。すると彼は目を見開いた。 「……もしや噂の“雪妖精”殿かい?」  リューティスは眉尻を下げた。この呼び名に関してはもう諦めた。冒険者の間だけではなく、商人にも、このような喫茶店の店員にまでも知られてしまっている。今更どうすることもできない。 「……その呼び名はあまり好きではありません。リュースとお呼びください」 「そうなのかい、悪かったね。……あぁ、好きなところに座ってくれよ。おすすめは窓際のテーブルだ」  ユリアスと有舞の後についていき、店の一番奥の窓際のテーブルの周りに並べられた椅子に腰を下ろした。窓の外に見えるのは、大通りに比べて静かな路地の光景である。 「何にする? おすすめは南の国東部産の珈琲よ」  有舞に差し出された品書きに目を落とす。珈琲だけでも様々な産地の物が取り揃えられており、さらにはそこに牛乳や生クリームや砂糖を加えたり、なんとアイスクリームを乗せたりすることもできるようだ。 .
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