八章 招待状

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  「ここのお店は紅茶もおいしいんですよ。おすすめは南の国北部産の紅茶のアップルティーです」  隣に座ったユリアスが、品書きの紅茶の項目を指で示した。珈琲と同様に、紅茶も種類が豊富である。 「茶菓子も旨いぞ。特にチーズケーキが」  正面に座るレイトが手を伸ばしてきて、軽食の項目のチーズケーキを指さした。  リューティスはしばし迷って決めた。ユリアスたちの注文する品が決まったところで、手を上げてクインネーを呼ぶ。 「南の国東部産珈琲に牛乳を加えてアイス乗せで。あと、チョコレートスコーンを一つ」 「中央の国南東部産紅茶のレモンティーとイチゴタルトをお願いします」 「おすすめの珈琲に生クリームと砂糖追加で、それからベリーソースがけのチーズケーキを一つ」 「南の国東部産の紅茶のアップルティーとチーズケーキをお願いいたします」  各々に注文をし、二つ折りの品書きを畳んだところで、有舞が口を開いた。 「ユリ、今日は護衛がいないのね」 「リュース君がいますから」 「……あぁ、そうね。これ以上ない護衛役がいたわ……」  有舞は思い出したかのようにこちらを一瞥した。彼らはリューティスの正体を知っている。もしや忘れられていたのだろうか。 「そういえば、最近、リュースの呼び名、よく聞くんだけど」 「…………なんでだろうね」  自分からあの呼び名を名乗ったことなどない。目立つこともできるだけ避けているつもりである。 .
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