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「俺も呼び名ほしいなー」
「あんたじゃ無理よ」
ばっさりと言い捨てた有舞にレイトの表情が引きつった。
「い、いつか絶対につくからな」
「へぇ……」
言い返したレイトに対して、有舞はぴくりと眉を動かした。相変わらず仲のいい二人である。
「あんたよりも先にリリスに呼び名が付くんじゃないの」
「り、リリスは……」
「今月中にAAランク昇格試験受けるって言ってたわよ」
リューティスは驚いた。彼女がAランクになったところまでは聞いていたが、もうAAランク昇格の話まで出ているとは。
リューティスがリリスと出会った頃、彼女は落ちこぼれといわれていた。魔力が少なく、魔法が苦手だったリリスであるが、獣人である彼女は本来、質の高い魔力を持っており、その封印を解いた今、消費魔力が少ない代わりに質の高い魔力でなければ使用することのできない本型魔力発動媒体──魔導書と、獣人族の本来の力を引き出す獣化という技術を使って、Fランクから一気に駆け上がった。
「最近は“碧猫”って呼ばれてるらしいわ。そのまま呼び名として定着するんじゃない?」
「…………リリスに負けた……」
肩を落として俯いたレイトに苦笑する。彼は現在、ギルド“月の光”零番隊の見習い隊員として、隊員たちに鍛えられている真っ最中である。今はまだ、鍛錬が忙しく、依頼を受ける余裕はほとんどないだろう。だが、見習いを抜ければ任務が回されてくることになる。そうなれば、ランク昇格試験を受ける条件が整うだろう。
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