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「そのつもりだけどなに」
「……いや、なんで騎士団目指さないんだ?」
「弓部隊に入るためよ」
「騎士団の騎射部隊でもいいだろ」
「いやよ。あたしは地面に足着けたまま戦いたいわ」
一般兵士団弓部隊は、弓使いによって構成される遠距離戦闘部隊である。一方、騎士団騎射部隊は、馬に乗って弓を操る弓使いによって構成されている。両者は似ているようで全く異なる。騎射部隊は場合によっては接近戦闘もこなさなければならないが、弓部隊は基本的に遠距離戦闘専門だ。
「でもお前、騎射得意だろ」
「得意じゃないわ。……とにかく嫌なの」
有舞の本音はよくわからないが、騎射部隊に入りたくない理由があることだけは何となくわかった。
「……ユリは宮廷魔法師目指してるのよね?」
話を強引に変えた有舞にユリアスがうなずく。
「とりあえずは魔法師団を目指していますけど」
宮廷魔法師は、国王軍の魔法師団の中でごく一握りの者がなることのできる、王族付きの魔法師のことである。騎士団の近衛騎士のような立場だ。
「リュースと一緒に働けるといいわね」
「はい」
柔らかく笑う彼女から目をそらす。彼女が宮廷魔法師を目指す理由の一つに気が付き、気恥ずかしかった。
「……なぁ、リュース」
「うん」
レイトに改まった様子で声をかけられて、チーズケーキを食べる手を止めた。
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