八章 招待状

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  「リュースってこれからどうするんだ?」  リューティスはきょとんとした。今後は、東の国に行き、剣術を習い直し、北の国に足を運んで異術──呪いについて学ぶつもりである。──だが、レイトが求めている答えはそんなことではないのだろう。  彼が聞いているのは、旅から帰った後にどうするつもりなのか、ということだ。 「……今までと変わらないよ」  騎士をしながら、ギルド“月の光”零番隊隊長として働きつつ、総帝として世界各地を飛び回る。そんな以前の生活が戻ってくるだろう。戦争前に比べれば、多少仕事が減ったが、それでも仕事はたくさんある。 「……これからもずっと戦い続けるのか?」  リューティスは苦笑した。それがリューティスに求められていることだ。  レイトの視線がリューティスを射抜く。有舞の視線がこちらに向く。ユリアスが心配そうに見上げてきた。 「……それが僕の仕事ですから」  戦うことしか知らずに成長してしまった。今は戦う以外の生き方も知っているが、戦う自分を必要とされているのならば、戦いをやめることはできない。もとはそれがリューティスの存在意義であったし、誰にも必要とされなくなってしまったら、どうすればいいのかわからなくなってしまう。 「リュース君、戦うの好きじゃないのに、どうして戦うんですか?」  エメラルドグリーンの瞳が真っすぐにこちらを見据える。そのあまりの真摯さに目をそらすこともできなかった。 .
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