八章 招待状

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   何かがリューティスの頭部に触れた。気配でそれがユリアスの手だとわかった。 「……ごめんなさい。困らせて」  リューティスは首を横に振った。答えられない自分が悪いのだ。矛盾を抱え、本当の答えを薄々理解していながら、それを口にできない自分に、苛立ちを感じる。 「──ま、そのうちどうにかなるでしょ」  有舞があっけらかんと口にして、珈琲に口をつけた。 「ど、どういうこと?」 「仕事が減ればいいのよ」 「……」 「あんたが頑張ればその分、減るでしょ。零番隊隊員さん」 「……そうだな」  レイトはへらりと笑った。 「そのうち追いついてやるから覚悟しとけよ、リュース」  にぃっと似合わない笑みを浮かべたレイトに、リューティスは思わず笑みをこぼした。  軽食を取り終えた一行は、再び大道芸が繰り広げられている広場に戻った。広場は変わらず混雑しており、その喧騒で互いの声はほとんど聞こえなくなる。  それからしばらくの間、大道芸を見続けて、昼食時になったところで有舞たちと共に広場から抜け出した。 「あの水属性魔法師、すげぇなー!」 「それより火属性魔法師の方がすごかったわよ」  前を歩く二人の会話に笑みをこぼしつつ、ユリアスと並んで歩く。 「リュース君はどの人がすごかったと思いますか?」  ユリアスに訊ねられて、リューティスは先ほどまで見ていた大道芸者たちを思い浮かべる。 .
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