八章 招待状

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  「……調教師の若い女性の方、でしょうか」 「え? どうしてですか?」 「彼女が操っていた小型の熊のような従魔がいましたが、あの魔物は調教がとても難しいのですよ」 「そうなんですか」 「はい。ワイバーンよりも難しいと聞いたことがあります」 「え!?」  目を丸くした彼女にくすりと笑った。  適当な食堂に入り、各々で昼食を注文する。 「さすがに混んでるわね」 「ま、大通りから一本中に入っただけだからなぁ」 「もっと奥に行けばよかったわ」 「かもな」  有舞の言葉にレイトは肩をすくめた。首都の大通りから一本奥の道沿いの食堂に入ったのだが、それでも混雑しており、冒険者らしき男たちと相席となっていた。 「あんちゃんら、デートか? ねぇちゃんら別嬪だな」 「若いなぁ」  話しかけてきた男たちにレイトがにやりと笑った。 「羨ましいだろ!」 「俺にも女神がいるからなぁ。ちっと歳くってるが」 「ちげぇねぇ」  けらけらと笑う男たちに有舞がやれやれと首を横に振った。  それからしばらくして料理が運ばれてきた。リューティスは匙を手に取ろうとして、フードを被ったままであることに気が付き、フードを下ろした。  すると、こちらをちらりと一瞥した冒険者らしき男が、数秒の間をあけてこちらを二度見した。 .
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