八章 招待状

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  「……まさか、噂の“雪妖精”?」  そのつぶやきで、男の仲間らしき他の冒険者と思しき男たちがこちらを振り向いた。  リューティス咄嗟にフードを被り直した。 「っ……悪い!」  リューティスのその反射的な行動を見て、男は慌てた様子で謝罪の言葉を口にした。リューティスはきょとんとして首を傾げる。 「……悪い、“雪妖精”が顔見られるのあんまり好きじゃないって聞いてたんだが、……その、ほんとに悪かった」  リューティスの──“雪妖精”の情報はどれほど広まっているのだろうか。以前にも冒険者の一声で注目を浴びてしまい、謝罪をされた記憶がある。名前や容姿だけではなく、視線を苦手としていることまで知られているようだ。 「……いえ、大丈夫です」  首を横に振って否定したが、少々視線を集め始めてしまっていた。密やかに息を吐きだす。 「……大丈夫?」  ユリアスに心配そうに見上げられて、リューティスは苦笑した。 「大丈夫ですよ」  賑やかな昼食の時間は、その後、しばらくの間、続いた。 .
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