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しかし、それ以上によく似ているものがある。それは、二人の魔力の質だった。リューティスでもほとんど判別がつかないほどによく似ているのだ。
男女であるのだから、一卵性の双子ではない。しかし、髪形を同じにして、骨格が分からないような意匠の同じ服を着て、アズリーが厚底の靴を履き、二人とも無言で立っていたら、おそらく見分けがつかないのではなかろうか。
十数分ほど待ち、ようやく門を通過し、街の外に出た。ハンクスの操る荷馬車は東へと続く街道を真っすぐに進んでいく。
「──リュースさんって、ドラゴンに乗って旅してるって聞いてたんですけど、今は違うんですね」
「……東の国に渡る予定でして、走竜は中央の国の知人に預けて参りました」
「え、どうしてですか?」
リアムは首をひねった。同じように首をひねるアズリーはやはりリアムにそっくりだ。
「従魔は基本的に東の国の本土には渡れません」
「そうなんですか!?」
東の国は色々と特殊な国である。少し前まで、長年に渡って鎖国をしていたが故に、特有の分化が築かれている。言語が異なれば、服装も異なるのだ。
「えぇ。……知らない土地に置いていくよりも、知人に預けた方が安心できますので」
「そうだったんですね……」
二人は納得した様子だった。
「なんで東の国に?」
会話を聞いていたらしいハンクスに訊ねられて、口を開く。
「剣術の修行のためです」
簡潔に答えるならば、これが答えだ。
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