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リューティスはハンクスから夕食分の携帯食を受け取って礼を告げ、その中にあった干し肉のかけらと周囲に生えていた野草と香草を使い、スープを作った。
「……どうぞ」
「いいのか?」
「えぇ」
“ボックス”から取り出した器に盛ったそれを匙と共にハンクスに差し出した。
「ありがとう」
ハンクスは一度だけ躊躇する素振りを見せたが、すぐに受け取ってくれた。
「……アズリーさんもよろしければどうぞ」
もう一つ取り出した器に盛ったそれを、匙と共にアズリーに差し出す。アズリーは驚いた様子で目をしばたたかせた。
「あ、あたしにもくれるんですか……?」
「はい。……要らないのでしたら無理には──」
「い、要ります!」
アズリーは慌てた様子で受け取った。彼女の態度は理解できないが、受け取ってもらえたのだからそれでいい。
リューティスは自分の分のスープを器に盛りつけて、ゆっくりと食べ始めた。
水を汲んで戻ってきたリアムに竈を譲りつつ、彼にもスープを差し出した。彼はおずおずと受け取って礼を口にすると、ハンクスから手渡された携帯食と共に食べ始めた。
「あ、あの、リュースさん。夜番の順番なんですが」
「はい」
食事を終えて、シロロも食べ終わったところで、緊張した様子で声をかけてきたリアムに視線を向ける。リューティスはなぜか彼らに恐れられているようだった。
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