九章 旅立ち

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  「えっと、三時間ずつでどうですか?」 「わかりました」 「何番目がいいですか?」 「……そうですね、僕が二番目を引き受けます」  リアムは目を見開き、それから激しく首を横に振った。 「い、いや! に、二番目はおれがやるので!!」  リューティスは眉尻を下げた。夜番の際、睡眠が途中で途切れる順番は、一番負担が大きい。そのため、こういったときは、一番旅慣れしている者が引き受けるべきである。 「……いえ、僕が二番目になります。旅慣れしておりますので、お気になさらないでください」  リューティスはあえて彼らの返事を聞かずに、マントにくるまり、近くに生えていた木の幹に背を預けて、目を閉じた。  仮眠を取り、目を覚ます。腕時計に目を落とすと、丁度三時間が経過する頃だった。先に夜番をすることになったのはアズリーだったようで、彼女は焚火の前でマントにくるまって薬草をすりつぶしていた。 「──アズリーさん」 「っ……はい」  彼女は驚いた様子で肩を跳ね上げて、こちらを見た。 「……すみません」 「い、いや、大丈夫です」  咄嗟に謝罪の言葉を口にすると、彼女は首を横に振った。 「もう交代の時間なのね……」  彼女は懐から懐中時計を取り出して時間を確認すると、調合の道具を片付け始めた。それらの道具はよく使いこまれており、彼女が日ごろから薬を調合していることがうかがえた。 .
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