25095人が本棚に入れています
本棚に追加
「えっと、三時間ずつでどうですか?」
「わかりました」
「何番目がいいですか?」
「……そうですね、僕が二番目を引き受けます」
リアムは目を見開き、それから激しく首を横に振った。
「い、いや! に、二番目はおれがやるので!!」
リューティスは眉尻を下げた。夜番の際、睡眠が途中で途切れる順番は、一番負担が大きい。そのため、こういったときは、一番旅慣れしている者が引き受けるべきである。
「……いえ、僕が二番目になります。旅慣れしておりますので、お気になさらないでください」
リューティスはあえて彼らの返事を聞かずに、マントにくるまり、近くに生えていた木の幹に背を預けて、目を閉じた。
仮眠を取り、目を覚ます。腕時計に目を落とすと、丁度三時間が経過する頃だった。先に夜番をすることになったのはアズリーだったようで、彼女は焚火の前でマントにくるまって薬草をすりつぶしていた。
「──アズリーさん」
「っ……はい」
彼女は驚いた様子で肩を跳ね上げて、こちらを見た。
「……すみません」
「い、いや、大丈夫です」
咄嗟に謝罪の言葉を口にすると、彼女は首を横に振った。
「もう交代の時間なのね……」
彼女は懐から懐中時計を取り出して時間を確認すると、調合の道具を片付け始めた。それらの道具はよく使いこまれており、彼女が日ごろから薬を調合していることがうかがえた。
.
最初のコメントを投稿しよう!