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だが、リューティスとは異なり、魔法薬ではなく、普通の薬を調合しているようだった。魔法薬の調合に使う道具は、魔力伝導性のいい素材や、反対に魔力絶縁性の高い素材を使って作られた器具が多いのだ。そのため、調合の道具を見れば、普通の薬の作り手なのか、それとも魔法薬の作り手なのか、判別が付くのである。勿論、それらの道具のもととなった素材の魔力伝導性に関する知識がなければ、判別することはできないのだが。
「ほんとに二番手でいいんですか?」
「問題ありません。……もともと睡眠時間が短いのです。お気になさらないでください」
リューティスは立ち上がって焚火の前に座り直し、“ボックス”に仕舞ってあった乾いた木の枝を焚火にくべた。
安全地帯の中であるため、特に魔物が接近してくることもなく、時間は静かに過ぎ去っていく。手持ち無沙汰に、焚火の明かりを頼りに、“ボックス”から取り出した設計しかけの魔方陣魔法を弄りはじめた。
それから大体三時間が経過し、リューティスはリアムを起こした。
「……交代です」
「っはい!」
ぱっと目を覚ました彼はやはり緊張しているように見える。その様子に申し訳なくなる。原因はランクなのだろうか。
リューティスは焚火から離れたところまで歩き、木の幹に背を預けて、再び目を閉じた。
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