九章 旅立ち

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   それから二時間経たずに目を覚ましたリューティスは立ち上がって身体の筋肉をほぐした。 「あ、あの、まだ早いですよ……?」  おずおずとリアムに話しかけられて苦笑する。 「……普段通りに目が覚めただけです」 「そ、そうなんですね」  リューティスは密やかに息を吐きだす。そのうち慣れてくれるだろうかと思いつつ、自分の態度を考えると人のことは言えない。ぎこちない態度を取っているのは、自分も同じなのだから。  リューティスは彼らから少し離れた場所に移動すると、鞘から紫がかった青い刀を抜き放ち、素振りを始めた。  東の空がほのかに明るみ始めたところで手を止めた。刀を鞘に収め、春の森の空気を大きく吸いこむ。わずかに湿った冷たいそれは心地よく身体を駆け巡った。わずかに香る花の甘いそれに頬を緩める。  リューティスが焚火の前に座るリアムに視線を向けると目が合った。先ほどからちらちらとこちらに向けられる視線は感じていた。  リアムは慌てたように目をそらす。 「……少し見回りをして参ります」 「は、はい。わかりました」  彼が目をそらしたままうなずいたのを見て、リューティスは野営地から抜け出した。  昨夜、水を汲んだ泉で顔を洗う。湧き水の冷たさが心地いい。それから昨日使った鍋を取り出して水を汲み、“ボックス”に仕舞った。  腰から吊り下げていた刀を抜き放ち、気配を消し去って森の中を歩く。目的は朝食用の肉の確保だ。 .
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