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「……どうしたら強くなれるんですか?」
率直に訊ねてきたリアムにリューティスは少しばかり考え込んだ。
強くならねば生きられなかった。ただ夢中で戦い続けて、リューティスは力を手に入れた。無論、ある程度の強さを手に入れてからは、自己鍛錬や強者からの教授によって、その力を磨いてきたが、もとの力をどのようにして手に入れたのか考えると、それは己の使命ゆえに生まれ持った才と生と死の境目を駆け続ける環境で生き続けたからであり、彼とは状況が違いすぎて助言などできるはずもない。
「……僕は生きるために強くなっただけですので」
リアムは顔をこわばらせた。
「ご、ごめんなさい!」
勢いよく頭を下げて謝罪の言葉を口にした彼に首を横に振る。
「いえ」
謝られるようなことではない。ただの事実だ。
沈黙が漂う中、鍋の中の作りかけのスープをかき混ぜる。春のこの時期のこの時間は本当に静かだ。まだ小鳥も目を覚まさず、蛙や虫の声も聞こえない。
「……見ればわかると思いますけど、おれとアズリーは双子の姉弟です。一応、アズリーの方が姉です」
似ていると思ったが、やはり双子だったのかと納得する。とはいえ、彼らは男女の双子であり、一卵性双生児ではない。
「十二歳の頃からずっとアズリーとパーティーを組んでいて、……でも、アズリーの方が早くランクが上がったんです」
ギルドランクは、Aランクまでは基本的に昇格試験もなく、依頼をこなしていくことで上がっていく。しかしながら、ランク昇格に値する実力がないとギルドが判断した場合は、依頼をこなしていてもランクが上がらないことがある。
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