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それから一時間ほどして、隊全体の訓練が開始された。この訓練は毎日行われているものであり、零番隊の隊員は基本的に毎日これに参加しなければならないことになっている。ただし、任務の都合で参加できない場合や参加できない可能性がある場合は、事前に不参加となる旨を上長に伝えておかねばならない。
リューティスが休暇中の今は、不参加の場合、副隊長であるローザンと、通常ならば第三席のアーシュという人物に報告をするはずなのだが、アーシュは基本的に多忙でギルドにいることが少ないため、第四席である竜人族のガークがその代わりを果たしている。
ローザンがいない今は、ガークのみが出欠席を把握している状況だ。
「本日の欠席は五名です」
「そうですか」
ガークから報告を受け、一つうなずく。多くもなく、少なくもなく、普段通りである。
それから、彼らと共に訓練に励んだ。一つ約八十キログラムの土嚢を引きずりながら壁から壁まで何度も往復し、部屋の中央の魔法で作られた壁をよじ登って乗り越え、宙に浮かべた水の球を身体強化せずに跳躍して破壊し──様々な訓練を行って体力が尽きる頃に、訓練部屋の壁際を走って周回する。
リューティスは自分にとって丁度いい速さで二十週走ったところで、足を緩めた。身体は鈍っていないようで一安心である。
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