十七章 実地試験

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  「隊長のウェディングドレス、楽しみにしてるっスからね!」 「…………」  リューティスは沈黙した。彼はリューティスの性別をよく理解しているはずだ。海で一緒に泳いだこともあるし、一緒に温泉に入ったこともある。理解していてなお、なぜ彼はこのようなことを口にするのだろうか。 「……僕は男です」  思わず素の口調でぼそりとつぶやくと、レイトはけらけらと笑った。 「知ってるっスよー。で、着ないんスか?」 「着ません」  きっぱりと言い切ったが、もし同じことをユリアスから言われたとしたら、断り切れる自信がない。彼女の願いならば、彼女が身の危険にさらされることでもなければ、大抵のことは叶えるつもりである。 「絶対にきれいなのに……。そうだ、ユリとおそろいのドレス着ればいいんじゃないスか?」  リューティスは沈黙した。もし、婚約式当日にユリアスと揃いのドレスが用意されていて、ユリアスにそれを着てほしいといわれてしまったら、リューティスは確実に断れない。 「絶対に似合うっスよ!!」  リューティスは小さく息を吐きだした。 「……レイトが着ればいいと思うよ。有舞とお揃いで」 「オレが着たら笑いものになるだけじゃんか。……てか、婚約とかまだ先だし」  口調を変えたリューティスに対して、レイトも敬語を取り払った。唇を尖らせてそっぽを向いた彼の頬はわずかに赤くなっていた。 .
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