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「公爵の当主だからなぁ」
「うん」
このまま婚約者ができずに数年が経過したら、国王陛下が適当な相手を見繕うのではなかろうか。
中央の国の公爵家の一つであり、古い歴史を持つヴィルソン公爵家の当主だ。アンドリューが自力で相手を見つけても、その相手に問題があると国王陛下が判断した場合、婚約は認められないだろう。
「ま、それはともかく。婚約式、楽しみにしてるからな」
「……うん。ありがとう」
ふわりと笑うと、彼は垂れ下がった目じりをさらにさげて笑った。
それから二日間の間、リューティスは中央の国の首都にあるギルド“月の光”本部を拠点として零番隊隊長として働き、二日間の休暇を終えてギルドにやってきたローザンと共に、課題の依頼先である小さな街の近くの森の中へと転移した。
それから二人で街に戻り、ギルドの転移魔方陣を使って首都経由でギルド都市へと戻る。
「ありがとうございました」
「い、いえ」
「では、これで」
「はい」
ローザンに礼を告げて、彼と別れ、一人で依頼受付の奥に続く扉の向こうへと出る。
「お帰りなさいませ、リューティス様」
リューティスに気が付いた受付嬢が声をかけてきた。
ギルドが混雑していない時間を見計らって戻ってきたため、受付の前には誰も並んでいなかった。
「こちらへどうぞ」
受付嬢に促されて受付台の前に立つ。
「結果は明日わかります。明日の朝、こちらにいらしてください。また、ご存知かと思いますが、Sランク以上の昇格試験の結果は、ギルド内にある掲示板に貼り出されることになっております。ご了承くださいませ」
「はい」
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