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そんな己に冷静な脳の片隅で呆れる。それでもその感情は変わらない。
紅茶を運んできた店員に代金を支払い、紅茶に口をつける。平民街ではあるが、富豪も時折足を運ぶような中心部であるためか、随分と香りのいい紅茶だった。
「おいしいですね」
ユリアスが口元を緩める。大貴族の令嬢である彼女の口にも合ったようでほっとした。
しばらく休憩をし、少し時間が早いが帰宅をすることにした。
「じゃあ迎えを呼びますね」
ユリアスは目を閉じる。念話魔法の発動する気配がした。
彼女が念話魔法を習得してから早数か月。彼女はもうすでにこの魔法を使いこなしているようだ。
彼女はすぐに目を開いた。
「すぐに来るそうです」
「ありがとうございます」
「はい」
ユリアスは笑みを浮かべると、再び紅茶に口をつけた。
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