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アクスレイド公爵家の屋敷に戻ると、一足早くクレーネーが帰っていた。その近くには友人たちの魔力がある。
「お帰りなさい!」
クレーネーに玄関で出迎えられて驚いていると、レイトが笑いだす。
「何驚いてんだよ。それよりも」
レイトはリューティスの左手とユリアスの左手を見ると、柔らかく笑った。
「婚約おめでとう」
「……ありがとう」
頬に熱が集まるのを感じつつ、リューティスはふわりと笑った。
「幸せそうだな」
「しょうがないさ」
呆れた様子で肩をすくめたアークとあきれ顔のリリスから目をそらす。
「ようやくかって言いたいところだけど、リュースにしては頑張った方ね」
「そうだろうな」
有舞の言葉にアンドリューがうなずく。それは情けないが的確な評価であり、否定できない。
「師匠、おめでと」
「……ありがとうございます」
眩しいほどに邪気のないクレーネーの笑みはあまりに眩しくて、目をそらした。
「あ、あの……ユリアスさま、おめでとうございます」
「ありがとう」
クレーネーはついでユリアスにもおずおずと祝いの言葉を送った。ユリアスは嬉しそうに笑う。そんな二人の様子を横目に、友人たちに視線を向け直した。
「クレーネーのこと、ありがとう」
「いや、結構楽しかった」
「クレーネー、強いんだな。さすがリュースの弟子だ」
リューティスは安堵した。リューティスとユリアスを二人きりにすべく動いてくれた彼らだったが、クレーネーが迷惑をかけていないかと心配していたのだ。レイトとアークの様子を見た限り、彼らは彼らで楽しんでいたようだ。
「というかリュース、やっぱり両刃の剣も使えたんだな」
アークに聞かれてリューティスは首を傾げた。
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