九章 旅立ち

13/39
23025人が本棚に入れています
本棚に追加
/1587ページ
  「オレが言ったってこと、言わないでくださいっスね? ……怜さん、教えるのが致命的に下手なんス」 「え?」  巧は首を傾げた。  怜は努力家の秀才であるが、少々、感覚的なところがある。何をどうやってか感覚的に物事を捉えているため、教えるのには致命的に不向きなのだ。彼女は何がどうしてそうなるのかを論理的に説明しきれないのである。  有舞も若干、彼女と似たところがあるように見えるが、彼女に関してはレイトの方が遥かによくわかっているだろう。なんせ、彼女の恋人である。 「でも、前に魔法を教えてもらったときはわかりやすかったですよ?」  レイトは目を丸くしてまじまじと巧の顔を見つめた。 「……巧さん、意外と感覚派なんスね」 「え?」  首を傾げる巧と複雑そうな表情でうなずくレイトを横目に、リューティスは昼食を食べ進めた。  巧に魔法の基礎を教えたのは、主に前マスターのステラと零番隊副隊長のローザンである。ステラは記憶を失う直前に水帝となった実力者であり、長年に渡って世界一の規模を誇るギルド“月の光”のマスターを務めていた人物でもある。彼女はその立場にふさわしい実力と知能の持ち主であったが、エルフ族の血を引くせいか、魔法は己の潜在能力と持って生まれた勘によって使いこなしている。リューティスが彼女から魔法を教わったとき、彼女の説明の大半は擬音語だった。 .
/1587ページ

最初のコメントを投稿しよう!