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恋に落ちました。落ち方は単純。
他校の男子に絡まれているところを助けて貰うと言う、唯一の友人なっちゃんに教えてもらった古典的で使い古されたパターンです。
ですが、好きになってしまったものは仕方がないのです。
となりに、行きたくなってしまったのです。
そして、イメチェンを始めました。
こつこつと、少しずつ。
小学生の時から愛用しているメガネと、お別れしました。
長かったスカート丈を、思い切って5センチ短くしました。
なっちゃんに、暗い!と言われ続けた髪をバッサリと切りました。
ほんのりピンクのリップを塗って、下を向かない事を心がけて。雑誌で読んだ通りにしました。
1つ1つ変える度、彼のとなりへ近づけるような気がしました。
そうして、2学期の始業式、学校へ向かいました。 教室の空気が、新学期だからでしょうか、固まっている気がします。
髪を切ったからでしょうか。みんなの視線を感じます。
久々に見る彼は、少し日焼けしていて、ああ。本当に好きだなあ、としみじみしていました。
すると、なっちゃんが走ってきて、
「えっ?ちょっと待って?花ちゃん、だよね。えっ?
その整った顔、今までどこに隠してたの??やだ!
何!もう!超かわいいじゃん!」
と、凄い勢いでまくしたてられました。確かに色々変わりはしたけれど、基本的にはあまり変わってはいません。そこで、
「好きな人ができたので、イメチェンなるものをしてみたんです。」
と答えると、今度は、教室の中にいた全員の動きが止まったように感じました。
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