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「良かったわね。その表情、『街へ出ないとわからないことが沢山ある』って言ってた姫様にそっくりだわ」
メアリは反射的にビクッとした。
「大丈夫。姫様のそんな表情を知っているのは私だけだから。
それにしても、見事なくらい二人の子供ね。
性格やちょっとした表情、髪の色なんかは姫様とよく似ているのに、顔立ちや瞳の色は団長そっくり」
父さんに似てるなら、当分の間は学園を辞めなくてもよさそうだ。
そんなことを思った矢先、お母さんに釘を刺された。
「でもね。いつも国王陛下の視察の日に休んでいたら不自然でしょう?
そのうち必ず、陛下に会うことになる。その時は、陛下の様子をよく観察して?もしも、必要以上に見つめてきたり、やけに質問が多いと思ったら、すぐに退学よ」
その可能性は、ないわけじゃない。
退学しても、王家はメアリに会いたがるかもしれない。
そこまで考えて、メアリはハッとした。
「もし、私が母さんに似てるって思われたら、お母さんたちに迷惑をかけるよね。お母さんは結婚してファミリーネームが変わってるけど、調べれば、母さんの侍女だったこともわかる。
たまたまお母さんたちの養子になった私が、母さんによく似てるなんて、普通に考えたらありえない。
その場合、王室に届け出なかった罪でお父さんとお母さんは罰せられるんじゃないの?」
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