手当て

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手当て

 ドサリと降ろされた場所は、山小屋の前だった。まだ昼前だと言うのに薄暗い森の中、ほとんど使われていない小さな倉庫のような小屋だ。辺りには鳥のさえずりが耳鳴りのようにこだましている。  黒い大きな狼は大和を背中から下ろすと、ブルブルっ激しく身震いした。すると、何故かみるみる骨格が変わり、人型になった。  顔はほとんど狼のままで金色の瞳…尻尾も生えたままだ。が、身体は人間と変わらない。ただ、漆黒の肌で黒い毛に覆われていた。 「…へ……?」  朦朧とした意識の中で、大和は目の前で起こったことが信じられなかった。  身長は190cm近くあるだろうか、かなり大柄な体格で筋肉質で、毛深い。人間に近いオスの身体を目の前にして、発情を抑えられない大和はゴクリと唾を飲んだ。 「…オレは人狼だ。生で見たのは初めてか?」  低い声でニヤリと笑うと、山小屋のドアを開けて大和を小脇に抱えて連れ込んだ。中は薄暗くてカビ臭く、木の伐採に使う道具や、ホコリの積もった罠などが置かれ、奥には仮眠が取れるような小さな簡易ベッドが置かれている。 「面白い匂いがするから行ってみれば、まさか人間のオスΩとはな。しかも発情してやがる」  獣は大和の身体から着ている物を剥ぎ取ると、軽々と簡易ベッドの上に置き、小さく喘ぐ大和の喉元を黒い毛深い手で締め上げた。 「あぐっ…⁈」 「オレを捕まえる罠か?」  大和は下半身の疼きと、締め上げられている苦しさに耐えながら首を横に振ると、獣は首を締めていた手を緩めた。抑えつけられていた気管支が急に開いて空気が通る刺激に咽せる。  獣は、大和のリュックにぶら下げられた個人情報タグを見つけると、大和の上に覆い被さった。 「夜なら完全に人型になれるんだがな、昼間じゃこれが限界だ。フェロモンの影響もまぁまぁと言ったところか」  そう言うと獣は大和の首元に長い鼻を押し付け、深く匂いを吸い込んだ。 「ナギ ヤマト、助けて欲しいか?」 「はぁ…はぁ……たす…けて……しず…めて…」 (半獣でも人狼でも何でもいい、今すぐめちゃくちゃにされたい……)  筋張った獣の首に腕絡めると、獣は大きく裂けた口を開き、長い舌で大和の耳を舐めた。ゾクゾクっと大和の身体が震える。  獣の太い指が大和の身体に侵入し、入口を懐柔する。それに対しΩの身体は、易々と指を開門歓迎した。中はヨダレを垂らして馳走を待つ口のように体液が溢れ、侵入者を待ちわびている。  潤んだ茶色い瞳で獣を見つめると、黒い獣は月のように輝く目を細めて喉を鳴らした。 「オレの名前はロキだ。その小さな唇でオレの名を鳴け」  闇色の塊が大和の胎内に撃ち込まれると、大和は目を見開いて反り返った。  ズルズルッと最深部まで容赦なく押し入る獣のソレは、大和の性感帯を擦り上げ、歓喜に震えさせる。 「んっ…んーーっ!」  後ろの覚醒により大和の陰茎も立ち上がり、先から液が溢れテラテラと湿らせた。 「なんだ、入れただけで軽くイッたのか?」  艶のある黒く輝く毛で覆われた広い背中が大和の姿をすっぽりと覆い隠す。その脇腹から突き出た白い足が、獣の腰に巻き付き、その動きに合わせて揺れ動いた。 「…ロ…キ……あっ……ぁ……んっ……はぁっ……」  小さな身体で必死に善がる大和の声が、徐々に甘さを増して高くなっていく。 「なかなか、いい声で、鳴く…」  獣の厚い耳が可愛い声を逃すまいと広がって下を向く。大きく裂けた口で大和の喉元を咥え込むと、牙が細い首に食い込んだ。のしかかる獣がちょっと本気を出せば、簡単に食い破ることが出来そうな、柔らかい首。生暖かい獣の臭いがリズミカルに降り注ぎ、熱い唾液が首に滴り落ちる。 「ロキ…っ……、ロキ……」  快楽に支配され思考が停止する中でも、あてがわれた命の危機は鮮明で、大和の生と性への欲望を掻き立てた。  獣は大和の中で大きくなっていく己を感じながら、その腰をガッチリ捕まえ、より深くねじ込む。あまりの激しさに逃げようと大和がもがくと、首に牙が食い込み、痛みに苦悶した。  獣の生み出す連続する衝撃から逃れようと腰を浮かせてくねらせると、心臓を素手で触られたようなインパクトが脳髄に走った。その部分を執拗にいたぶられる。 「あっ……も……ダメ……イき……そ…」  足元から巨大な波がやって来るのを感じて、大和は自我を失ってしまいそうな錯覚に恐怖した。 「こわい…ロキ……こわいっ……んんっ!」  身体の奥底からせり上がってくる快楽の津波がまだ若い身体を襲う。獣の柔らかい肩の毛を指に巻き付けしがみ付き、陰茎から白い体液を吐き出すと激しく痙攣した。  大和の胎内がその刺激でギュッとしまり、獣の熱い肉棒を締め付ける。 「グゥッ…!」  獣が呻くと、大和の腹の中に熱い物が広がった。そして獣のペニスの根元が充血し、しっかりと大和の中に固定された。 「あ……あー、夢中で…外玉にするの忘れた…」  静かな小屋中に荒い息遣いが響く。  自分の下で気を失っている大和の中が、まだビクビクと動いているのを感じながら、獣は面倒そうにため息をついた。 「ロックかかっちまったら、しばらく動けねーんだよなぁ…はぁ」  根元だけ外に出していれば、根元が充血しても抜くことが出来たのに、こうなったら無理に外すと、お互いに痛い思いをする。  獣はゆっくりと大和をかき抱くと、クルッと反転して自分が下になり、下半身が収まるのを待つことにした。  腹の上にはぐったりと繋がっている人間のオス。ホコリ臭い小屋の中で、その人間の匂いを明確に記憶した。
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