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 ああ。また僕は逃げた。目を背けたい現実から逃げ、逃げた先でまた逃げ、それを繰り返して戻ってきたこの街で、さらに逃げる。  強いストロボのような夕日に照らされて、まるで僕の性質がありのまま映し出されるような気がして怖くなって逃げるように駆け出した。  木枯らしが足に絡まる。本質を見定めるように体中に駆け巡る秋の風が冷たくて汗も引く。やがて品定めが済んだのか後方へと吹き抜けていく冷たく乾燥した風は、僕の心から何かを掠めとっていった。  
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