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《どうしてわかってくれないの? エレンなら、私のことをわかってくれるって信じてたのに!!
なのにどうして、どうして【ソイツと一緒に居る】のよ!? ……もういい、消えて。早くここから消えてぇ!!》
コミュニケーションが取れていたはずの相手なのに、それが不可能になるのは、かなりのもどかしさを感じる。
声を出そうとする様子がわかるようで、僕の方を見ずとも攻撃は可能なようだ。
攻撃、といっても無差別に周囲を荒らしているだけで、彼女の瞳から溢れ出す涙が形を変えて小さな礫となり、あちらこちらへと飛んでゆく。
いくら一つ一つが小さい礫だからと言えど、当たれば一溜まりもない。
小さな羽虫が飛ぶほどの速度でなら、まだ直撃したところで対した害は無いだろうが、今まさしく飛んでくる礫は羽虫の飛ぶ速度と比べても天と地ほどの差だ。
直撃は免れているが、完全な回避は不可能。薄皮を裂く程度の傷は、今では数えられないほどとなっている。
直撃すれば死ぬ。
小さな礫の中に、拳一つ分ほどの大きさのものも紛れ込んでいる。
彼女の拒絶反応は、そのまま『殺意』へと変換される。放たれる礫の大きさは、まさしく彼女の感情を表しているようだった。
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