序章【青い涙は黒く染まる】

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 泉は次第に黒く染め上げられ、闇そのものを映したかのように黒々と輝いている。  そしてその闇を吸い上げるエリアの姿も同様に、黒く、暗い──ただひたすらに闇を身に包み込んでいる。  美しかった彼女の姿は、もはやどこにも無い。 《ああ……ああッ、ぐゥゥゥゥ……!!》  獣のような声を漏らすエリアは、両の手で顔全体を覆い、涙を必死に止めようとしている。  彼女から溢れ出す深い感情から読み取れるのは、明確な『怒りの感情』。  それと同時に流れ込んでくる、強い恐怖心。    そして何よりも、どの感情よりも強く感じられる『殺意』の波動。  どれもこれもが『負の感情』に直結する要素だ。  恐らく、何者かの手によって感情の制御が出来なくなっているのだろう。  記憶すらも書き換えられるのだ、それくらい出来たって不思議ではないが、何とも胸クソ悪い。殺した上でそこまでするか?  ──何にせよ、このままいくと確実に元の姿には戻れなくなる。  それどころか、精霊から完全に逸脱した魔物と同等の存在に形を変える可能性だってある。    そうなってしまっては取り返しがつかない……!
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