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地面や木が抉れるほどの攻撃。
あんなものに直撃すれば、人間の体なんて一瞬にして粉微塵だ。痛くて泣いている暇なんて、これっぽっちも無く絶命する。
震える体は次第に後ろへと下がってゆく。
しかし僕は、逃げ出したくなる気持ちを押し殺し、彼女と過ごした思い出を脳裏に映し出す。
彼女と過ごした日々は本当に楽しかった。
数日の間だけであったが、たったそれだけの時間の中で彼女を救いたいと思い行動を移すくらいには彼女には惹かれていた。
故に僕は涙を流す。
彼女を救う──それは決して、彼女にとっての幸せでは無いはずだからだ。
しかし、だからと言って今さら立ち止まれない。
君をここから出してやる。救ってやる。
息を整え、彼女と比べてもそう大差無い体躯を奮い立たせて一歩ずつ進んでゆく。
そんな中で思い出すのは、僕がここに来るまでの道筋。
走馬燈にも思える数々の光景をフラッシュバックさせながら、事の経緯を思い出す。
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