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「トラ。また不細工だって真也さんに笑われるわよ?」 「し、失礼なっ! あの時は、寝ぼけてただけで……っ、うにゃっ!?」  言わんこっちゃない。またもや足を滑らせてしまったトラは塀から転がり落ち、地面で尻餅をついてしまったようだった。俺は「バカ、トラ。バカ」と繰り返し、トラの腕を掴んで引っ張り、立たせてやる。 「ごめんなさい……」  トラはしおらしく眉をさげていた。俺は「あまり無茶はするなよ」と言っただけで、無邪気と元気が取り柄のトラに、大人しくしていろ、とは口が裂けても言えなかった。  チャチャに関しては、「こちらに来ていれば、そのうち見つかるでしょ」とクロが言うので、トラはチャチャ探しのことなどすっかり頭の外へと追いやったらしい。  町では、トラの友達を紹介された。寒い地方で飼われているらしいうさぎや、カラフルな頭髪のインコ。トラの友達に会うたび、鼻が高くなるような、誇らしい気分になる。こういう感情を抱いてしまうことを親バカと言うのだろうか。トラがたくさんの友達に囲まれている風景を見るだけで、なんだか目頭が熱くなってくるのだ。  そうしているうちに出会ったクロの親友が、警察犬のシェパードだと聞いたときは驚いた。それと同時に、うちのクロは警察犬に匹敵する思考の持ち主であるらしいことを知る。うちのクロをぜひとも警察猫に、と推薦したいのは山々だったが、クロが家に居られなくなってしまうのは寂しいのでやめておいた。 「チャチャもね、いっつもたくさんの友達と一緒にいるんだよー」 「そうなのか?」 「うん! ライオンさんと仲良しだって言ってた!」  マジか。ライオンか。同じ猫科だが、大丈夫なのかチャチャ。
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