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「みんな、あたしのために時間使わせて悪かったな」  チャチャはぐるりと周りを見回した。俺は今になって、倉庫のような場所にいることに気付いた上に、何人もの人に囲まれていることを知ったのである。 「どうせ暇してましたから大丈夫っすよ」  俺の直感だけで判断するならば、一番に口を開いたのはワシだろう。次はヘビが「姉御の頼みなら喜んで頼まれますよ!」などど言い、賛同する声すら上がっている。 「あ、姉御って……」  戸惑う俺をよそに、チャチャはみんなに解散を言い放つ。そうしてぞろぞろと倉庫を後にする動物たち。この時になってやっと、「チャチャは強い」と言ったクロの言葉が頭の隅から浮かび上がってきたのだった。 「で? これから、その飼い主をどうするんだ。チャチャ」  視界の外から聞こえてきた声に、俺は思わず肩を跳ねさせた。それほどまでに、その低い声が他者を威圧する力を秘めていたのである。おそるおそる首を回すと、そこに居たのはまぎれもなく、ライオン。トラが言っていた、チャチャの友達だろう。俺は咄嗟に笑顔を作った。たぶん、かなり、引きつっていたと思う。 「まあ、暇つぶしに町でも案内してやんよ。クロにも、真也の面倒みとけって言われたしな。ったく、相変わらず猫使いが荒い野郎だぜ」 「ああ。あの、ツンツンしたチビ助か」 「ははっ。んなこと言ったら怒るぜー? クロ」 「おっと。それは困るな。あの爪は小さくて痛そうだ」
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