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 二人は楽しそうに談話をし始めた。仲が良いと言うのもトラの勘違いではなさそうだし、いじめられているような雰囲気もない。むしろ、チャチャの方が姉御肌と言うのか、そういう、ライオンの面倒をみてやっている感じがひしひしと伝わって来る。 「で、お前はどうする? 無理にあたしらに付き合う必要はないんだぜ?」 「同行させてもらおう。これと言ってしたいこともないしな」 「了解っと。ってことで、真也。三人でぶらぶらしようぜ?」  百獣の王の威厳に縮こまっていた俺だが、チャチャの屈託のない笑顔に救われた。「コイツ、こんなナリしてっけど気弱なんだよ」とライオンの背中をどんどんと叩くチャチャにはひやひやしたが、ライオンは怒るでもなく、動物園で生まれ育った経緯を話してくれた。  その上、「子供は好きだ。俺を見て、カッコいいと言ってくれるからな」と、心優しい一面も見え隠れさせるライオンと俺はすぐに打ち解けることができた。ふわふわのタテガミを表した髪も触らせてくれて、なんていいヤツなんだ、と、しばらくライオンとの交流を深めた俺は、すっかりと意見をくつがえすこととなった。 「チャチャ。なんか、人が増えてねぇか?」  陽が沈むにつれて、一時的に人通りが少なくなったように思っていた町のそこらかしこから、ばらばらとたくさんの足音が聞こえ始めたのである。夜行性の動物たちが動き出したのかと尋ねるも、チャチャは肩をすくめて首を横にふった。 「騎士だ」 「騎士?」 「ああ。町の治安を守ってるヤツらなんだ。夜になると増える」  ぺっと吐き捨てるように告げたチャチャの表情から、騎士という存在はあまり良いものではないことが伝わってきた。現に「あまり目立つ場所を歩かない方がいい」とライオンまでもが耳打ちするものだから、俺たちは騎士が通らないような裏道ばかりを選んで歩いた。
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