2.ケツ毛のアン

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2.ケツ毛のアン

 パパたちの喧嘩の声をしり目に、階段に座って頬杖をつきながらぼんやり空を見上げていると、ひらひら舞う雪のかけらは少しずつ増えて、本格的に降り始めた。  くしゅん、とぼくはひとつくしゃみをする。垂れそうになった鼻をすすった。コートを着てくればよかった。もう入って大丈夫かなと、また店を振り返ってみるけれど、諍いの声と物音は続いている。パパの叫ぶ声が、ちょっと鼻にかかった金切り声に変わっていた。可哀そうに、恋人に泣かされいるんだ。慰めてあげたいけど、今ぼくが行ってもやっぱり無駄なことなので、後回しにしよう。それよりも暖かい場所を探すことにして、ぼくはひとまず立ち上がった。     
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