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1.パパとぼく
ふと見上げると、濁った空から綿ボコりみたいな、燃えカスの灰みたいな、小さいものがひらひらと落ちてきた。
「あ……雪だ」
ぼくはぽっつり呟いてから、店の入り口を振り返る。
「ねぇパパ――」
雪だよ。
と言おうとして、僕は首をすくめた。
中から『ドンガラガッシャーン』と大きな物音が響いてきたからだ。ヒステリックな声がそれに続く。パパがわめき散らしてるみたいだ。閉じたドアに遮られて、何を言っているかまではわからない。パパのものより低い怒鳴り声も聞こえてきて、また何かが壊れる音がした。
パパとパパの恋人が喧嘩をしているらしい。
ぼくはパパに雪が降ってきたのを教えるのを諦めて、頬杖をついた。初雪なのに、少し残念。でもしょうがない。
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