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こうなっては玉露は芋虫ダンゴムシ状態で、文字通り手も足も出せはしない。
唯一達者な口を使って、散々ッぱら罵りを吐くしかできないのだった。
乱暴に男が腰を使うので、畳で頬に擦り傷ができないよう気を遣いつつ、玉露は肩で体重を支えた無理な四つん這いの姿勢で首を捻っては、唾を吐きかける勢いで潮を詰る。
その度に潮は唇を醜く歪め、より悪辣な罵倒を口にしながら、これでもかとばかりに腰を打ち付ける。
その繰り返しだ。
しかも潮はわざと玉露の尻の肉を強く鷲掴んだり、後ろ手に縛られた腕を無理な角度に曲げさせたりして、堪え切れない悲鳴が彼の唇から溢れ出るのを愉しんだ。
はたまた、嫌がるのを承知で耳たぶや項の辺りを酒臭い舌で舐め上げたり、萎えたままの玉露の抜身の先端に指先を食いこませたりもする。
玉露はその度に奥歯がぐらつきそうな程、強く歯噛みしなければならなかった。
いっそ無抵抗に身を委ねれば、ここまで加虐心を潮が煽られることもなく、優しくはされないまでも多少楽な目を見れそうなものであるが、
そこで流されてしまえるほど玉露の神経はやわではない。
不服である以上、とことん、例え口だけでも、抗い切るのが性分だ。
しかしそうは言っても、罵倒の言葉もやがては底をついてくる。
うすらトンカチだのスカポンタンだのという単語はこの状況に相応しくない。
人を貶すことにかけては語彙の少なくない玉露であるが、いい加減、うんざりしてきた。
悪酔いしているせいなのか、と言ってこの男が酔っていない時など殆どないのだが、余程の安酒でも食らったのだろうか、盛る潮の終わりがなかなか来ないのもまた難儀である。
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