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「あんた、根っからの純粋なんだねえ」
ついと玉露はそんな感想を漏らした。
陰間は春を売る娼妓である。
客とは色恋を模し、時には同情を誘って卑下もしてみせれば、媚びを振りまき甘えてもみせる。
その逐一は遊戯であって、本気なんざありゃしない。
仮に玉露が潮の横暴を心底嘆き、悲壮を覚えていたとして、またそれを客に訴えたとしても、
それは単に客の関心を引き寄せるための手段であって、本当に客にどうこうして欲しいなどという思惑はない。
そんなことをされたらもう客は客ではなく、本物の情夫である。
身請けしようというならまだしも、そうでない客が陰間の私的な事情まで気を遣うものではない。
だのにこの御仁ときたら。
玉露は呆れるやら感心させらるやらである。
そんな純な性根でよくもまあ、娼妓になぞ手を出したものである。
「参ったねえ。絆されちまうよ」
嘯いて、玉露は握っていた占部の手を引き寄せた。
彼の手の甲に自身の手の平を重ね、白粉を塗った頬へと触れさせる。
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