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自身か、鳳ノ介か、或いは占部か猪田か篠山か、その他の誰かであるのか。
誰にでも可能性はあって、ただ一歩、今より余分に踏み込んで終焉を求めてしまえば簡単に応じられるのやもしれぬ。
美しい翡翠の色をした煎茶の中で漂う茶柱が、容易には捕まらないように、誰も『彼』を本当には手に入れられないと思っているけれど、
生きて独占することを諦めれば、死出の旅路の伴を願えば、案外、とんとん拍子に話は進んでしまったりするのだろうか。
考えてみて、しかしトキワは今一つ現実味がないと切り捨てた。
確かに脆さはあるだろう。
意外なくらいに不器用で繊細な部分もあるに違いない。
けれどもきっとそれ以上に、強かで貪欲な男のはずだ。
ケタケタと品もへったくれもなく笑う赤い唇を思い浮かべ、トキワは知らず頬を緩めた。
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