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娘の言に彼女はぐっと言葉に詰まる。
別にそんなことは言いやしないですよ。
少し間を置いてから、彼女は拗ねたような口ぶりで言い返した。
少し疲れているのね。
ついでのように、独り言じみてそう続ける。
急に気弱にならないでよ。
別に日和ってなんかいないわ。
日和ったとは言ってないでしょう。
往復書簡のような言葉を交わして、今度は互いに苦笑した。
それにしても品がないわねぇ。
各々好き勝手に咲き競う花束を眺めて彼女はまた言う。
でも奇麗でしょう。娘は笑って受け流した。
まるで娼妓の着物のようね。華美で下品で――
アコガレル
と、声を閉ざした彼女の唇がそう動いた気がして、娘は花を整える手を止めた。
娘の瞠った目の先で、彼女はすいと瞳を泳がせ、雨の降り続く窓辺を見やる。
籠の中の憐れな鳥はいつでも大体美しいのね。
キレイな歌声を響かせて、誰にだって媚びを売るのだわ。
心を込めて偽りを囀って。
そうでもしないと生きられないものねぇ。
何を言っているかわからないよ。
そう言って、娘は彼女の言葉を妨げようとする。
するすると滑り落ちるような彼女の言い草が、娘を無性に不安にさせた。
季節外れの花みたいなものだわ。
いつでも奇麗でいつでも美しい、良い声の鳥なんて。
ここも同じね。
いつでも清潔でいつでも白い。いつまでも生きる人なんか居やしないのに、いついつまでも生き永らえさせようとする。
ねぇ、やめて。
まるで室の中のよう。
徒に咲いて呼ばれて謳うのでしょう。
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