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猛然と猪田は玉露を犯した。
それは当然に和姦であったが、そうと思えぬ猛々しさであった。
己の強さを知らしめんとばかりに、猪田は玉露に騎乗を許さず、一方的に腰を突き動かす。
且つ、執拗に責め続け、息を継ぐ間も与えなかった。
腰を激しく使いながらも、男は玉露の胸を抓り、腕を引いて指をしゃぶり、覆いかぶさって鎖骨に噛みつきと、暴虐な振る舞いをする。
紅花はもはや、獣のまぐわいを見ている心地となった。
知らず、胸が大きく波打ち、玉露が猪田に食らいつかれる個所を、指先が辿っている。
それすら気づかず、紅花は魅入られて体を火照らせていた。
その鼓膜に、狂ったような玉露の嬌声が響く。
ああも乱れる玉露見るのは恐らく初めてのことだった。
ほとんど背中が布団に着く暇もなく、玉露は弓なりに大きくのけ反ったまま、もがき苦しむ者のように敷布を爪で搔いている。
美しく整えられていた豊かな日本髪は、枕もいずこかへ行ってしまった敷布団の上で、振り乱され、擦られ、すっかり形を失くしていた。
そうして乱れ落ちた数房が、筋張った喉に張り付いて、黒くとぐろを巻いている。
それがまた酷く妄りがかましかった。
伝い、混じり合う、二人の汗の匂いさえ、鼻腔に届きそうに思える。
間断ない喘ぎはもはや悲鳴とも嗚咽ともつかず、突き出した喉仏が今しも薄い肌を突き破って血を噴き出すのではないか。
そんな懸念すら感じさせた。
長い両脚が猪田の猛攻から逃げたがり、空を蹴って暴れまわっては、不意に硬直し、ビクビクと痙攣する。
その度に、玉露が絶頂の波に呑み込まれているのが分かった。
閉じる間のない唇から溢れた唾液が頬を汚し、白粉まじりの染みを褥に広げている。
両の目もまた、瞬きを忘れて見開かれたままだった。
そんな玉露を、けれども猪田は赦そうとしない。
ギラギラと獣性を宿らせた目で凝視しながら、延々と責め立て、肉の楔を打ち付け続ける。
それは憎しむようであり、また傲然と玉露を支配しきる王者の横暴のようでもであり、同時に焦燥に駆り立てられて怯え惑う敗者のさまのようでもあった。
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