専務の豹変

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専務の豹変

ホテルまで、常務秘書の赤井さんが迎えに来てくれた。 私達はそのまま赤井さんの車で社に向かう。 「今日のスケジュールは以上です。専務」 「わかった・・・」 タブレットを覗き見る専務は適当に頷いた。 「一昨日の会議の議事録はディスクに保存しておいたので、後でお渡しします」 「成瀬さんは仕事が早いね・・・」 「いえ・・・これが秘書である私の仕事ですから・・・」 「一つお願いがある・・・」 「何ですか?専務」 「そこのカーテンを閉めてくれ」 「承知しました」 私は運転席と後部座席の間にあるカーテンをそっと閉めた。 「後は声を出さないでくれ・・・成瀬さん」 「えっ?」 専務の手が私の胸元に伸びて来た。 専務!!? 私は驚いた表情で彼を見つめる。 彼は唇に人差し指を立てて静かにと促した。 その顔が余りにも無邪気で私は彼の暴挙を許してしまった。
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