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彼に群がる女性は趣味が悪い。
彼自身も女たらし。常務には申し訳ないが、彼は結婚には向いていない男性だと私の中で結論づけていた。
「花粉症は嘘だろ?成瀬さん・・・失恋か?俺が慰めてやろうか?」
切れ長の黒水晶のキレイな専務の瞳が私を心配そうに見ていた。
「結構です・・・彼に対する想いはもう断ち切りましたから・・・」
「そっか・・・成瀬さんって男が居たのか…初耳だ」
「え、あ・・・いえ。コーヒーを淹れて参ります」
私は高鳴る鼓動を抑え、給湯室に向かった。
胸に手を当てて、鼓動の静まるのを待つ。
―――――専務が私を気に掛けてくれるなんて初めてのコト。
私は鼓動が静まったのを確かめ、予め、コーヒーメーカで作っておいたコーヒーをカップに注いだ。
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