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まだ、機体の中には木村市枝たちが残っていた。
機内に誰も残っていないことを確認してから、降りるように役割分担したのだ。
「いいですか、誰か、残っていませんか。行きますよ」
改めて、市枝たちは、それほど多くない客席を確認する。そして、気がついた。
トランシルバニアからの一行が陣取っていたセレブ専用の一角。
そこに誰もいないことを何度も確認したはずなのに。
しかも、それは、行方不明になったルーナ王女が座っているはずの席に。
人影があったのだ。
その人は、静かに座っていた。
「まだいたんだ、困った人ね」
市枝は、あからさかまに腰に手を当てて嘆息した。
どさくさにまぎれて、ルーナ王女が座っていたという特等席に座ってみようと思ったに違いない。
あきらかにムッとしながら、その男の前に仁王立ちになる。
そして、そして、そこに、彼女が見たのは・・・
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