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自分で自分を断罪している以上、どれだけ反省しても、それは悪としてしか認識できず、黙過され続けていたのだ。しかし、今、ラチルは、ずばりとそのことを指摘して見せた。
いうまでもないことだが、目の前の少女が、侮ることの出来ない超能力者であったことを、いまさらのように、わかった。
「あなたの努力は、徒労ではなかったよ、市枝。どうやってここにこれたのかはわからないけど、あなたは、このアークにやってきた。このアークは、幻魔との戦いでも、かなり有利な太陽の戦士の基地になる。それを、あなたの仲間の、CRAだったっけ・・CRAのみんなに教えてあげるといい」
「わたしは、ここにくるために、今まで、いろんな世界を旅してきたのか」
「いずれ、あんたの探している東丈も、ここにやってくるに違いないよ。ここは、そういう場所だべ」
「そうだね、市枝がいうとおり、世界を救う、真の救世主みたいな大超能力者なら、かならず、ここに来るに違いない」
「そうだべ、だから、ぜんぜんがっかりするには及ばないべ、市枝」
「そうだね・・今、連絡が来た。マ王が”遭難したDC-8”を見つけたって」
「じゃあ、迎えにいくべ」
「迎えにいくって・・」
「これを動かすべ」
「動かすって」
「そ、飛ばすんだ」
「飛ばすって」
「市枝も手伝うのだべ」
「え・・」
ウサギのようなマントを羽織ったラチルは、市枝とドナーの手を引いて、DC-8の操縦席に入っていった。
「さ、ドナーは、こっちに座って、機長さんだべ。でもって、市枝は副操縦士、さ、座って座って」
「でも・・」
「ドナー、あんた、メカに強いから、操縦方法は知っているべ?」
「まあ、マニア向けの操縦の本は読んだことがあるけど、それだけで・・」
「それで、十分だべ。これが、普通の世界だったら、エンジンをかけられるだけでも表彰状モノだろうけど。ここは、なにしろ異次元世界だからね。あとは、気合、イメージだべ」
「なるほど、要は気合、か」
「んだ、気合だべ」
「・・ってどうするのさ」
「僕が、発進させるから市枝は、その後の操縦をお願いだ。なんか、それは僕よりうまそうだから」
「というより、ドナーより下手な人間を思いつけないべ」
「へへへ。じゃ、発進させるよ。たしか、こことここのスイッチを入れて・・本当は、発信前に動くかどうかチェックするものなのだけど」
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