*半月*

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弟が亡くなって以来、自分の存在価値が分からなくて、深いことは考えないようにしてた。考えたくなかった。そのことで何度も親父とぶつかり、結局家を飛び出した。若干18歳だった。弟は1つ違いで、享年17歳だった。 それから今のアパートを借り、バイトで生計を立てたりした後、免許を取って工場で働くようになって今に至る。 女には困らなかった。俺が芸能人の誰それに似てるとかで、彼女になりたがる女は多かった。要は俺が付加価値のようなものだ。女はアクセサリー感覚で隣に男を立たせたがる。来るもの拒まず、去るもの追わずで、俺も固執しなかった。 それなのに、今ここにいる彼女は離したくないと思う。危なっかしい彼女を守ってやりたいと思う。理由は分からない。家に縛られているという、似たような状況だったからなのだろうか。
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