腕枕

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「入院でいいですね、アルコール依存症の患者さんには、基本3ヶ月間の入院をして貰います。お酒について勉強したり、自助グループとも繋がって貰います。良いですね?」 自助グループ?何だろう。加奈子は戸惑った。しかし、しょうがない。決断するしかなさそうだ。 「解りました。お願いします」 (会社の皆、何て思うかな) 加奈子は職場の心配をした。3ヶ月も休むだなんて皆不思議に思うに違いない。それとも診断書にアルコール依存症と書くのだろうか?退院したら恥ずかしくて会社に行けない。 その後、幾つかの質問をした医師は電話で何処かに連絡を入れて、2階の病棟が決まったと加奈子と夫に教えてくれた。 「この入院案内に必要な物が書いてあります。その廊下から右に曲がった所に売店がありますからそこで揃えられます。それから、持ち込んではいけない物がたくさん有りますので、気を付けて下さい」 加奈子はハッとして 「スマートフォンは大丈夫でしょうか?」と聞いてみた。 「持ち込み禁止です。3ヶ月間我慢して下さい」 ああ。何て事だろう。加奈子はガックリと肩を落とした。 「たった、3ヶ月だよ。我慢して病気を治そう」 夫が加奈子の顔を見る。 (こんな事になるなんて) 加奈子はもう逃げ場が無い事に気がついた。
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