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「私はもうダメだ」
春が終わり梅雨に入る季節、土曜日の朝11時頃の事である、加奈子は焼酎の空き缶が転がる部屋の中で一人嘆いた。
「完全にアルコール依存症だな」
夫と二人で住んでいるアパートの一室、古ぼけた絨毯の上で寝そべって、込み上げてくる吐き気と闘う。
(気持ち悪い)
トイレに駆け込むと胃液が食道から喉にかけてせりあがってくる。
(迎え酒をすれば落ち着くかもしれない)
加奈子は冷蔵庫を開けておそるおそる、飲みかけの焼酎のサワーが入った缶を開けて口につける。
「うっ」
また吐き気が襲ってきた。どうやらこれ以上飲めないようだ。
(このままではいけない。なんとかしなくては)
加奈子は座った姿勢で両手を絨毯の上におき、下を見つめながら吐き気と闘った。
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