腕枕

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思い返せば今現在大好きな夫と結婚したのは38歳の頃だ。一生独身で過ごそうと思っていたのだが、夫の熱意に負けて結婚する事になった。結婚を申し込まれたのが約7年程前。直ぐに結婚を決めたがその頃はアルコール依存症の入口になっていた。毎晩の晩酌は当たり前。不眠症を理由に夜中に起きてもお酒を飲む日が続いた。朝、会社に行く時に酔っている事も幾度となくある。朝から酔っていても徒歩と電車で通勤しているので大きな問題がおきた事はない。職業は設計士、頭を使う仕事である。仕事のストレスと不眠から逃れる為にお酒を飲んでいた。 しかし、吐き気と闘っているうち、いい加減加奈子は自分の飲酒問題に絶望してきた。病気を治す為に丁度良い事に今は結婚する前から通っているメンタルクリニックで不眠症の治療をしている。月に2回、10年以上もそこに通っているのだ。今度行ったらお酒の問題の事も相談しなければいけない。加奈子は何回目であろう。お酒をやめる決意をした。 それから無理やり立ち上がり、戸棚の所に行って睡眠薬が入っている袋を開ける。一週間分睡眠薬がある。一週間経って、必ず医師に相談してみよう。夫にも隠れて朝から飲んでいる事を話さなくてはいけない。加奈子は隣の部屋に行き、布団を被って昼寝してしまおうと睡眠薬を飲んだ。睡魔はすぐにやってきて気がついた時には夕方の4時になっていた。
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